たまにはこういう話も書いてみるかな、と思った。
友人の日記からの引用
以下、友人の日記(2009/11/20付け)からの引用です。彼がこんなまじめな文章書いてるのは初めて見た。
この一週間は色々と動いておりました。 同僚の方々との話し合いで、主に若手研究者に対する理解を狙って、 文科省への意見書を作成し、今日から賛同者を集め始めました。 意見書の募集は12月15日までとのことですが、 どうやら今週末までに集まった意見分布で考慮されるとの有力情報があり、 現在大急ぎで賛同者を募集中です。 ただし、上記の意見書は当事者の意見表明ということで、 若手研究者に絞って賛同者を募っております。 しかし科学技術政策自体については、 より多くの皆様から理解を得る必要があると考えます。 今回のことで、我々が自分達の研究について社会へ理解を求めることを 如何に怠っていたかが、期せずして露呈しました。 本来ならば、自分自身の言葉で理解を求めるのが筋ですが、 まずは政府の総合科学技術会議の提言を紹介させて頂きます。 興味のある方は、以下のpdfファイルをご覧下さい。 http://www8.cao.go.jp/cstp/output/20091119yushikisha.pdf 何らかの機会に、自分の言葉でも意見を述べさせて頂ければと思います。 ちなみに、科学技術研究費関連予算について、以下の様な署名サイトがあります。 ネット署名の影響力に関しては、難しいところはあると思いますが こちらもあわせてご覧頂ければ幸いです。 科学研究費補助金の一部の執行停止に対する反対署名 http://www.shomei.tv/project-1343.html 厳しい社会情勢と財政状況の中で、政策の優先度は非常に難しい問題です。 その中で、科学技術関連予算の重要性・必要性を説くことに迷いはありますが、 当事者としての意見を述べたいと考え、まずはこの場を借りて知り合いの皆様に お伝えさせて頂きました。 これが、皆様の政策への考え方において、何かしら参考になれば幸いです。
そして、本日 http://twitter.com/#search?q=%23utnoveldebate (もしくは http://twitter.com/#search?q=%23utnobeldebate ) と流れているようでした。
自分もかつて基礎科学の世界にちょっとだけ関わっていた人として、またその世界に残り続けた友人たちをみていると、この話題はけっこう気になっています。
科学技術政策って
学生のとき、「変形量子化」という何の役に立つのかさっぱり分かんない研究をやってた先輩がいて、その分野のことも分かっている偉い先生が「それで、世界はなにがかわると思う?」と突っ込まれていました。この研究が大衆に理解されるのは少なくとも100年以上先だろうな、と思った記憶があります。また、たしか須藤修氏の授業だかなんかで「(理系でも) 政策という視点を持て」と言われ、確かになー、とすごい印象に残っていました。
必要ないとは言わないが、国の政策という視点で、どの程度の予算を割けばよいのだろうか、ということですよね。
国策として外国との競争力とか言ってられないほど国内経済がヤバい、という事情もあるのでしょう。上の引用にあるように、基礎科学の世界にいる人たちが、これまで説明をさぼってきた面も否定できないけれど、もうちょっと説明機会が与えられるべきなんじゃないでしょうか。
かなり贔屓目はあるだろうし一部しか知らないけれど、現場の人間の生活はイメージ通り、決して楽じゃないと思います。
マスメディアが取り上げる仕分け人の突っ込みしか見てないので詳細は知りませんが、部分の否定で全体を否定するありがちな議論になっているように見えます。
メディアの役割
とまあ、ありがちな意見を書いてみたんですが、じつは興味をもったもう一つの理由が、この話題におけるメディアの役割です。
すなわち、自分みたくインターネットを業務としても使っている人ではなく、飲み会の連絡を携帯でしかとったことないような友人(失礼)が、その意見を主張する場としてSNSを使ったことでした。
今回、「ノーベル賞・フィールズ賞受賞者による事業仕分けに対する緊急声明と科学技術予算をめぐる緊急討論会」と題して東大小柴ホールで開かれた討論会は、 @yuyarin による ust 中継 (c.f. http://www.ustream.tv/recorded/2638211 ) で見させていただきました。見ている人の意見は ust の IRC で見れるし、実際に現場にいる人たちの意見も twitter で見られるわけです。
楽天の薬事法の問題だったり、Yahoo! Japanのネットと選挙の話題だったり、すこしずつ社会が変わっているのを身近に感じられるのが、とても楽しい。 @yuyarin++ (あとたぶん源流にはドワンゴ++)、でした。
「メディアを作るのは、インフラか、コンテンツか?」
先日こんな質問を、とある場で聞いてみたことがあります。思いつきの質問だったので、自分で回答を用意してなかったのだけれど、改めてこの問いについて考えてみると、やっぱりインフラなのかな、と思いました。
この日記を以て自分もメディアの一部なんです。みんながどう考えるか、聞いてみたい。
おわり
さいごに話は戻りますが、奨学金も今回の仕分けで取り上げられているんですね。
たとえばちょっとした学会なり研究会なり、たとえば1万円だったとして、学生にはきついけれど、いい年した社会人なら払えない金額ではないと思います。銀座で合コンして流れでおごってしまうくらいなら、こういうところに積極的にお金を払うようにしたい。個人でできる範囲でも科学技術への貢献はできると思うよ!